大般泥洹經 巻第五 文字品第十四
東晋沙門法顯共天竺沙門覺賢譯
佛復告迦葉一切言説呪術記論如來所説爲一切本迦葉菩薩白佛言世尊其義云何佛告迦葉初現半字爲一切本一切呪術言語所持眞實法聚童蒙衆生從此字本學通諸法是法非法知其差別是故如來化現字本不爲非法迦葉菩薩白佛言世尊云何字本佛告迦葉初十四音名爲字本是十四音常爲一切諸字之本字有何義不破壞義不漏義如來義名爲字義如來法身金剛不壞故名不壞如來無有九道諸漏故名不漏如來常住故説爲字無作之義
初短阿者吉義吉者三寶義次長阿者現聖智義其名聖者離世間數淸淨少欲能度一切三有之海故名爲聖聖者正也能正法度行處律儀及世間法度是其義也復次阿者其所長養皆依於聖一切眞實正行之本孝養二親皆依是知曉了正法住摩訶衍善男子善女人持戒比丘及諸菩薩如是所行皆名依聖又復阿者世界言語法之所依如言善男子阿伽車者如言男子莫作阿那遮羅是故阿者亦是世間言語所依
短伊者此也言此法者是如來法梵行離垢淸淨猶如滿月顯此法故諸佛世尊而現此名又復伊者言此是義此非義此是魔説此是佛説依是分別故名爲此
其長伊者名爲自在名大自在自在梵王能於如來難得之敎以自在力護持正法以是之故名爲自在又復伊者於此自在大乘方等般泥洹經自在攝持令此敎法自在熾然令餘衆生自在受學此方等經又復伊者自在方等能除伊者嫉妬邪見如治田苗去諸穢草如是等比是故如來説伊自在
短憂者上也於此契經説最上義其諸聲聞及辟支佛所未曽聞一句一字片言歴耳譬如諸方欝單越爲福德之上大乘方等亦復如是一言歴耳當知是等人中之上爲菩薩也是故如來説此憂字
長憂者如香牛乳其乳香味是大乘經最爲上味廣説如來眞實之性非法憍慢皆悉消滅又復憂者名爲大憂於如來藏慧命根斷著無我説當知是等名爲大憂是故説憂
㖶者是也言是佛法如來泥洹亦説是法
哇者如來也有去來義以是故説如來如去
烏者下也下賤煩惱悉除滅已名爲如來是故説烏
炮者是摩訶衍於十四音炮爲究竟是故説名摩訶衍於一切論爲究竟論是故説炮
安者一切也如來敎法離於一切錢財寶物安者遮義一闡提義
最後阿者盡也一切契經摩訶衍者最爲窮盡迦者一切衆生如一子想於諸一切皆起悲心是故説迦
佉者掘也發掘如來甚深法藏智慧深入無有堅固是故説佉
伽者藏也一切衆生有如來藏是故説伽
重音伽者吼也常師子吼説如來常住是故説伽
俄者泡也一切諸行速起速滅故説爲俄
遮者行也成就衆生故名爲遮
車者照曜如來常住之性是故説車
闍者生也生諸解脱非如生死危脆之生
重音闍者燒也一切煩惱燒令速滅故説爲闍
若者智也知法眞實是故説若
吒者示也於閻浮提現不具足而彼如來法身常住是故説吒
侘者示滿足也平等滿足是故説侘
荼者輕仙不没是故説荼
重音荼者不知慚恥重恩不報是故説荼
挐者不正也如諸外道是故説挐
多者遮一切有令不相續是故説多
他者無知也如蠶蟲作蠒是故説他
陀者於摩訶衍歡喜方便是故説陀
重音陀者持也護持三寶如須彌山不令沉沒是故説陀
那者如城門側因陀羅幢豎立三寶是故説那
波者起顚倒想三寶沉沒而自迷亂是故説波
頗者世界成敗持戒成敗自己成敗自向成壞是故説頗
婆者力也如諸如來無量神力非但十力是故説婆
重音婆者能擔正法爲菩薩道是故爲婆
摩者限也入菩薩法限自强其志爲衆重檐是故説摩
耶者習行菩薩四種功德是故説耶
羅者滅淫怒癡入眞實法是故説羅
輕音羅者不受聲聞辟支佛乘受學大乘是故説羅
和者一切世間呪術制作菩薩悉説是故説和
賒者三種毒刺皆悉已拔是故説賒
沙者滿義悉能聞受方等契經是故説沙
娑者竪立正法是故説娑
呵者驚聲也怪哉諸行悉皆究竟怪哉如來而般泥洹離諸喜樂是故説呵
叉者魔也天魔億千無能壞其如來正僧隨順世間而現有壞又復隨順世間現爲父母諸宗親等是故説叉
唎囄栗棃四字者長養四義佛及法僧示現有對隨順世間示現有對如調達壞僧僧實不壞如來方便示現壞僧化作是像爲結戒故若知如來方便義者不應恐怖當知是名隨順世間是故説此最後四字吸氣之聲舌根之聲隨鼻之聲超聲長聲以斯等義和合此字如此諸字和順之聲入衆言音皆因舌齒而有差別因斯字故無量諸患積聚之身陰界諸入因緣和合休息寂滅入如來性佛性顯現究竟成就是故半字名爲一切諸字之本若觀法實及如來解脱亦無文字言語之相字相味相皆悉遠離是故一切遠離名爲解脱其解脱者即是如來因是半字能起諸法而無諸法因字之相是名善解文字之義若異是者不解文字分別諸法是法非法如來之性三法解脱而不能知是經非經是律非律魔説佛説悉不能知我説是等不知字故是故善男子汝等應當善學半字亦當入彼解文字數迦葉菩薩白佛言世尊我當善學斯等半字今我世尊便爲佛子得最上師我今便入學書之堂佛告迦葉善哉善哉善男子樂修正法應當如是
底本:嘉興蔵(万曆版大蔵経)
大般泥洹經 巻第五 文字品第十四
佛、復た迦葉に告げたまはく。一切の言説・呪術・記論は、如來の所説を一切の本と爲すと。迦葉菩薩、佛に白して言さく。世尊、其の義、云何。佛、迦葉に告げたまはく。初めに半字を現じて一切の本と爲す。一切の呪術・言語は、所持の眞實の法聚なり。童蒙の衆生、此の字本に從ひ學んで諸法に通じ、是法・非法と、其の差別を知る。是の故に如來は化して字本を現じて非法と爲さずと。迦葉菩薩、佛に白して言さく。世尊、云何が字本なりや。佛、迦葉に告げたまはく。初め十四音を名けて字本と爲す。是の十四音、常に一切諸字の本字と爲す。何なる義有りや。破壞せざるの義、不漏の義、如來の義を、名けて字義と爲す。如來の法身は金剛不壞なり。故に不壞と名く。如來は九道の諸漏有ること無し。故に不漏と名く。如來は常住の故に説て字の無作の義と爲す。
次に長の阿とは聖智を現ずるの義。其れ聖と名ける者は世間の數を離れ、淸淨・少欲にして能く一切の三有の海を度る。故に名けて聖と爲す。聖とは正なり。能く正法は行處、律儀及び世間の法度を度す。是れ其の義なり。復た次に阿とは、其れ長養する所は皆な聖に依る。一切の眞實正行の本なり。二親に孝養するは皆な是の知に依る。正法を曉了して摩訶衍に住す。善男子・善女人、持戒の比丘及び諸菩薩の、是くの如き所行は皆な名けて聖に依る。又復た阿とは、世界の言語法の所依なり。善男子は阿伽車の者と言ふが如く、男子を阿那遮羅と作す莫れと言ふが如し。是の故に阿とは亦た是れ世間言語の所依なり。
短の伊とは此れなり。此の法と言ふは、是れ如來の法なり。梵行、垢を離れて淸淨たり。猶ほ滿月の如く、此の法を顯すが故に。諸佛世尊は而も此の名を現す。又復た伊とは、此れは是れ義、此れは非義、此れは是れ魔説、此れは是れ佛説と言ふなり。是の分別に依るが故に名けて此れと爲す。
其の長の伊とは、名けて自在と爲し、大自在に名く。自在・梵王、能く如來難得の敎へに於て、自在力を以て正法を護持す。是れを以ての故に名けて自在と爲す。又復た伊とは、此の自在の大乘方等般泥洹經に於て自在に攝持し、此の敎法をして自在に熾然たらしめ、餘の衆生 をして自在に此の方等經を受學せしむなり。又復た伊とは、自在なり。方等の伊は嫉妬・邪見を能く除く。田苗を治して諸の穢草を去るが如し。是くの如く比すに等し。是の故に如來、伊の自在を説く。
短の憂とは上なり。此の契經に於て最上義と説く。其れ諸の聲聞、及び辟支佛なり。未だ曽て聞かざる所の一句一字、片言を歴るのみ。譬へば諸方は欝單越を福德の上と爲すが如し。大乘方等も亦復た是くの如く、一言を歴るのみ。當に知るべし、是れ等、人中の上を菩薩と爲すなり。是の故に如來は此の憂字を説く。
長の憂とは、香しき牛乳の如し。其れ乳の香味は是れ大乘經にして最も上味と爲す。如來眞實の性を廣説して、非法の憍慢、皆な悉く消滅す。又復た憂とは名けて大憂と爲す。如來藏に於て慧命根の斷じて、無我説に著す。當に知るべし、是れ等を名けて大憂と爲す。是の故に憂と説く。
㖶とは是れなり。是の佛法を言ふ。如來の泥洹なり。亦た是の法を説く。
哇とは如來なり。去來の義有り。是れを以ての故に如來を如去と説く。
烏とは下なり。下賤の煩惱、悉く除滅し已るを、名けて如來と爲す。是の故に烏と説く。
炮とは是れ摩訶衍なり。十四音に於て炮を究竟と爲す。是の故に説て摩訶衍と名く。一切論に於て究竟論と爲す。是の故に炮と説く。
安とは一切なり。如來の敎法は一切の錢・財・寶物を離る。安とは遮の義、一闡提の義なり。
最後の阿とは盡なり。一切契經、摩訶衍とは最も窮盡と爲す。
迦とは一切衆生を一子と想ふが如く、諸の一切に於て皆な悲心を起す。是の故に迦と説く。
佉とは掘なり。如來甚深の法藏を發掘して、智慧、深く入て堅固有ること無し。是の故に佉と説く。
重音の伽とは吼なり。常に師子吼して如來の常住を説く。是の故に伽と説く。
俄とは泡なり。一切諸行は速かに起こり、速かに滅するがに故に、説て俄と爲す。
闍とは生なり。諸の解脱を生ずるは、生死危脆の生の如きに非ず。
重音の闍とは燒なり。一切の煩惱、燒て速滅せしむ。故に説て闍と爲す。
吒とは示なり。閻浮提に於て不具足を現ず。而して彼の如來の法身は常住なり。是の故に吒と説く。
荼とは輕仙にして没せず。是の故に荼と説く。
重音の荼とは慚恥を知らず、重恩に報ひず。是の故に荼と説く。
挐とは不正なり。諸の外道の如し。是の故に挐と説く。
多とは一切の有を遮して、相續せざらしむ。是の故に多と説く。
他とは無知なり。蠶蟲の蠒を作るが如し。是の故に他と説く。
陀とは摩訶衍に於て歡喜し方便す。是の故に陀と説く。
重音の陀とは持なり。三寶を護持すること、須彌山の沉沒せしめざるが如し。是の故に陀と説く。
那とは城門の側の因陀羅の幢の如く、三寶を豎立す。是の故に那と説く。
波とは顚倒想を起こす。三寶、沉沒して自ら迷亂す。是の故に波と説く。
頗とは世界の成敗と持戒の成敗と自己の成敗なり。自ら向て成壞す。是の故に頗と説く。
婆とは力なり。諸の如來の無量の神力は、但だ十力のみに非ざるが如し。是の故に婆と説く。
重音の婆とは能く正法を擔て菩薩道を爲す。是の故に婆と爲す。
摩とは限なり。菩薩法に入り、限て自ら其の志を强くし、衆の重檐と爲る。是の故に摩と説く。
耶とは菩薩、四種の功德を習行す。是の故に耶と説く。
羅とは淫・怒・癡を滅して眞實法に入る。是の故に羅と説く。
輕音の羅とは聲聞・辟支佛乘を受けずして大乘を受學す。是の故に羅と説く。
和とは一切世間の呪術の制作なり。菩薩悉く説く。是の故に和と説く。
賒とは三種の毒刺、皆な悉く已に拔く。是に故に賒と説く。
沙とは滿の義。悉く能く方等の契經を聞受す。是の故に沙と説く。
娑とは正法を竪立す。是の故に娑と説く。
呵とは驚聲なり。怪しき哉、諸行悉く皆な究竟す。怪しき哉、如來は而して般泥洹して諸の喜・樂を離る。是の故に呵と説く。
叉とは魔なり。天魔の億千も能く其の如來の正僧を壞すること無し。世間に隨順して壞有ることを現ず。又復た世間に隨順して父母、諸の宗親等と爲ることを現ず。是の故に叉と説く。
唎・囄・栗・棃の四字は四義を長養す。佛及び法・僧、世間に隨順して有對を示現す。有對を示現すとは、調達の壞僧の如し。僧は實には壞せず、如來方便して壞僧を示現し、是の像を化作して結戒を爲すが故に。若し如來方便の義を知らば、應に恐怖すべからず。當に知るべし、是れを世間に隨順すと名く。是の故に此の最後の四字を説く。
吸氣の聲・舌根の聲・隨鼻の聲・超聲・長聲、斯れ等の義を以て此の字を和合す。此の諸字、和順の聲、衆の言音に入る。皆な舌・齒に因て差別有るは、斯の字に因るが故なり。無量の諸患積聚の身、陰・界・諸入、因緣和合す。休息寂滅して如來性に入る。佛性、顯現して究竟成就す。是の故に半字を名けて一切諸字の本と爲す。
若し法實、及び如來解脱を觀ば、亦た文字言語の相無し。字相・味相、皆な悉く遠離す。是の故に一切遠離を名けて解脱と爲す。其れ解脱とは即ち是れ如來なり。是の半字に因て能く諸法を起す。而して諸法、字に因るの相無し。是れを善く文字の義を解すと名く。若し是れに異なる者、文字を解せざれば諸法を是法・非法と分別す。
如來性は三法解脱なり。而して是經・非經、是律・非律、魔説・佛説と知ること能はず、悉く我が説を知ること能はず。是れ等は字を知らざるが故なり。是の故に善男子、汝等、應當に善く半字を學すべし。亦た當に彼に入て文字の數を解すべし。
迦葉菩薩、佛に白して言く。世尊、我れ當に善く斯れ等の半字を學すべし。今ま我れ、世尊、便ち佛子と爲て最上師を得。我れ今ま便ち學書の堂に入ぬ。佛、迦葉に告げたまはく。善い哉、善い哉、善男子、樂て正法を修すこと應當に是くの如くすべしと。
《凡例》
『字母』=不空訳『瑜伽金剛頂経釈釈字母品』
『釈義』=空海『梵字悉曇字母并釈義』
『字記』=智広『悉曇字記』
『唐記』=円仁『在唐記』
《中天》=伝:中天竺音(澄禅説)
《南天》=伝:南天竺音(澄禅説)
[S]=Sanskrit
朱字=訂字
釈尊の般涅槃(parinirvāna)を主題とした経。同主題の経典は多くあり、特に声聞乗と大乗との所伝ではその内容に大きな差異が見られる。本経は大乗に属すが、同系統の経典として三本が伝わる。すなわち本稿にて紹介する法顕・覚賢訳『大般泥洹経』六巻、曇無讖訳『大般涅槃経』四十巻、慧厳等訳『大般涅槃経』三十六巻であるが、『大般泥洹経』が諸本のうち最初に訳された最古のものである。ここで最後に挙げたものは、北支にて訳された四十巻本を南支にて再治して三十六巻としたもので、一般に前者を北本、後者を南本と称す。
本稿では『大般泥洹経』のうち、特に梵字の字義について説かれた「文字品」をのみ示す。▲
四~五世紀、東晋代の支那僧。当時、支那にもたらされ漢訳されていた経に錯誤が多く、また未だ律蔵が伝えられていないことを嘆き、ついに自らいわゆるシルクロードを経て印度に渡り、梵語を学んでのち仏典の原典を探し求め、ついに『長阿含経』・『雑阿含経』、そして『摩訶僧祇律』や『五分律』等の梵本を得てセイロン経由で帰国した。それは十四年にわたる求法の旅であり、その紀行文を綴ったのが『仏国記』(『法顕伝』)。▲
[S]Buddhabhadra. 北印度出身の僧。仏駄跋陀羅と音写されるが、その漢訳名。支那に来訪して後、禅法の興隆に努め、鳩摩羅什と論戦を戦わせたがその門弟から疎まれ長安から排斥された。その後、廬山の慧遠の元で『達磨多羅禅経』を訳出。また法顕と共に『大般泥洹経』と『摩訶僧祇律』を訳した後、さらに六十巻『華厳経』を訳した。▲
[S/P] Buddhaの音写、佛陀の略。そもそもBuddhaとは梵語であり、その語源が√bud(目覚める)+ta(過去分詞)→連声→buddhaであって「目覚めた人」の意。(それまで知られなかった真理に)目覚めた人、悟った者であるからBuddhaという。仏陀とはあくまで人であった。
支那にとって外来語であったBuddhaは当初「浮屠」・「浮図」・「母駄」・「沒陀」などとも音写されたが、後にBudhに「佛」の字が充てられ「佛陀」との音写が行われるようになり、やがて略して「佛」の一文字で称するようになって今に至る。それら音写のいずれにも「屠」や「没」・「駄」・「陀」など、いわば好ましからざる意を持つ漢字が当てられている。そこには当時の支那人における外来の文物を蔑視し、矮小化しようとする意図が明らかに現れている(この傾向はその後も比較的長く見られる)。
そもそも「佛」という一文字からも、当時の支那人におけるいわば「Buddha観」を見ることが出来る。『説文解字』では「佛」とは「見不審也(見るに審らかならず)」の意とする。また「佛」とは「人 + 弗」で構成されるが、それは「人にあらざるもの」・「人でないもの」を意味する。ここからも、当時の支那人にはBuddhaをして「人ではない」とする見方があったことが知られる。事実、漢訳仏典の最初と伝説される『四十二章経』の序文にても「神人」と表現されているように、往時の彼らにとって佛とはあくまで超常的存在、神に類するものであって人ならざるものであった。
なお、日本で「佛(仏)」を「ほとけ」と訓じるのは、「ふと(浮屠)」または「ぼだ(沒陀)」の音変化した「ほと」に、接尾辞「け」が付加されたものである。この「け」が何を意味するかは未確定で、「気」または「怪」あるいは「異」が想定される。それらはいずれもおよそ明瞭でないモノ、あるいは特別なモノを指すに用いられる点で通じている。日本語の「ほとけ」という語にも、漢字の「佛」に潜む不明瞭なものとする理解が含まれているのである。▲
[S] Kāśyapa. 『泥洹経』における重要な対告衆の一人、迦葉童子。いわゆる十大弟子の摩訶迦葉尊者とは異なる。▲
[S/P] tathāgata. tathā(如・真理)からāgata(来た)と理解されたことによる訳。あるいはtathā(如・真理)へgata(行った)と理解されて如去とも訳された。いずれの理解が正しいかは定めがたいが、支那では主に前者、西蔵では後者の理解が伝統的になされている。仏陀の異称(如来の十号)の一つ。▲
[S] Bhagavat / [P] Bhagavant. 幸ある人、輝ける人。仏陀の異称、如来の十号の一。▲
印度一般において用いられる、単なる表音文字としての梵字。一々の文字が象徴する意義(字義)の理解を伴わずに用いられる梵字。▲
梵語の母音には十四音あって、それを梵字によって示せば
(a)・
(ā)・
(i)・
(ī)・
(u)・
(ū)・
(e)・
(ai)・
(o)・
(au)・
(ṛ)・
(ṝ)・
(ḷ)・
(ḷ)の十四となる。
ただし、本『大般泥洹経』では「十四音」と云いながら、後の一節にて挙げるのは
(a)・
(ā)・
(i)・
(ī)・
(u)・
(ū)・
(e)・
(ai)・
(o)・
(au)・
(aṃ)・
(aḥ)の十二音のみであって撞着している。
支那・日本では一般に、それら十二音を通摩多といい、
(ṛ)・
(ṝ)・
(ḷ)・
(ḷ)の四音を別摩多とするが、それらを総じたならば十六音となる。
なお
(aṃ)・
(aḥ)はそれ自体で存在し得るものでなく、ある音に付随して初めて発せられる音であって正しく母音ではない。しかし、その例示として子音の前に列挙されるものとされ、母音と子音の間に示されることから「界畔字」とも云われる。▲
[S] dharmakāya. 真理自体。あらゆる事物に通底する無自性空なるあり方そのもの。▲
尋常な人体の有する両目・両耳・鼻腔・口・尿道・肛門の九つの穴。▲
梵字それぞれが有する字義は、如来など誰かによって創造されたものでなく自然に存するものであること。▲
Brāhmī : 𑀅
梵字:
Devanāgarī : अ
『字母』:阿上
『釈義』:阿上聲呼
『字記』:短阿字上聲短呼音近惡引
『唐記』:短上阿
《中天》:ア
《南天》:ア ▲
[S] adṛṣṭavat? 幸運・吉祥。
梵語における
(a)は「非」・「無」など否定を表する接頭辞であり、『般若経』などではその義における象徴として阿字が挙げられるが、本経にては吉を表すものとして示される。▲
[S] tri-ratna. 仏陀・仏法・僧伽の世に敬すべき三つの存在。▲
Brāhmī : 𑀆
梵字:
Devanāgarī : आ
『字母』:阿引去
『釈義』:阿去聲長引呼
『字記』:長阿字依聲長呼
『唐記』:長阿開口呼之初去後平之勢
《中天》:アヽ
《南天》:アヽ ▲
[S] ārya. 聖、賢、優。▲
求めることは少なく、満足してあること。▲
生命としての存在する三種の境遇。欲界・色界・無色界の三界における三種のあり方。▲
[S] mahāyāna. 大乗。大いなる教え。▲
[S] bhikṣu / [P] bhikkhu. (食を)乞う者。乞士と漢訳される。新訳家は苾芻と音写する。仏教の正式な男性出家修行者。▲
[S] āśraya. 拠り所、寄る辺、助け、避難所。▲
[S] ākāśa. 虚空、空間。▲
[S] anāśraya. 無所依。▲
Brāhmī : 𑀇
梵字:
Devanāgarī : इ
『字母』:伊上
『釈義』:伊上聲
『字記』:短伊字上聲聲近於翼反
『唐記』:短伊上
《中天》:イ
《南天》:イ ▲
[S] idam / iti. ▲
[S] brahmacarya. 特に性的禁欲を保つこと。▲
Brāhmī : 𑀈
梵字:
Devanāgarī : ई
『字母』:伊引去
『釈義』:伊去聲引呼
『字記』:長伊字依字長呼
『唐記』:長伊初去後平
《中天》:イヽ
《南天》:イヽ ▲
[S] īśvara. 意のままであること。▲
[S] Īśvara. ここでは自在天、いわゆるŚiva(Maheśvara)を意味する。 。▲
[S] Brahman, Brahmā. 梵天。印度教において世界の創造神として伝説され信仰される神。仏教は創造主の存在を認めず、これをただ高次元の神霊であるとのみする。▲
[S] vaipulya. 偉大、広大の意。特に大乗経典を意味する語。▲
Brāhmī : 𑀉
梵字:
Devanāgarī : उ
『字母』:塢
『釈義』:塢
『字記』:短甌字上聲聲近屋
『唐記』:短乎々字以本鄕音呼之
《中天》:ウ
《南天》:ウ ▲
[S] uttara. 高位、優等、上級、北方の意。▲
[S] sūtra. ▲
[S] śrāvaka. (教えを)聞く者、生徒の意。特に仏弟子、あるいは大乗の立場から小乗を奉じる者を意味する語。▲
[S] pratyeka-buddha. 独覚。高い悟りに達しながらそれを世間に開示することの無い聖者。縁覚とも。▲
Brāhmī : 𑀊
梵字:
Devanāgarī : ऊ
『字母』:汚引
『釈義』:汚長聲
『字記』:長甌字長呼
『唐記』:長乎
《中天》:ウヽ
《南天》:ウヽ ▲
[S] tathāgatagarbha. 衆生に本来備わっているとされる仏陀(如来)に同じ本性。すべての生命がその内に秘める真如に同じ徳性。自性清浄心、仏性に同じ。▲
Brāhmī : 𑀏
梵字:
Devanāgarī : ए
『字母』:曀
『釈義』:噎
『字記』:短藹字去聲聲近櫻係反
『唐記』:短衣々字以本鄕音呼之
《中天》:エイ
《南天》:エ ▲
Brāhmī : 𑀐
梵字:
Devanāgarī : ऐ
『字母』:愛
『釈義』:愛
『字記』:長藹字近於界反
『唐記』:長哀々字以本鄕音呼之初阿後伊之勢
《中天》:アイ
《南天》:エ ▲
Brāhmī : 𑀑
梵字:
Devanāgarī : ओ
『字母』:汚
『釈義』:汚長聲
『字記』:短奧字去聲近汚
『唐記』:短於々字以本鄕音呼之
《中天》:ヲヽ
《南天》:ヲヽ ▲
Brāhmī : 𑀒
梵字:
Devanāgarī : औ
『字母』:奧
『釈義』:奧去聲引
『字記』:長奧字依字長呼
『唐記』:長奥初是阿聲後是本鄕乎字聲
《中天》:ヲヽ
《南天》:ヲヽ ▲
Brāhmī : 𑀅 + 𑀁
梵字:
Devanāgarī : अं
『字母』:暗
『釈義』:闇
『字記』:短暗字去聲聲近於鑒反
『唐記』:短阿暗反
《中天》:アン
《南天》:アン ▲
Brāhmī : 𑀅 + 𑀂
梵字:
Devanāgarī : अः
『字母』:惡
『釈義』:惡
『字記』:長痾字去聲近惡
『唐記』:短阿此阿聲是似本鄕阿字音放氣急切呼不同初短阿聲
《中天》:アク
《南天》:アク ▲
Brāhmī : 𑀓
梵字:
Devanāgarī : क
『字母』:迦上
『釈義』:迦上聲引
『字記』:迦字居下反音近姜可反
『唐記』:以本鄕加音呼之下字亦然以下諸字皆去呼之
《中天》:キャ
《南天》:カ ▲
例えば分別説部が伝持したSuttanipāta等に所収のMetta sutta(『慈経』)に説かれる仏者がたもつべき慈心(いつくしみ)のあり方。▲
[S] karṇā. 苦しみ無くあれとの願い、想い。害意無き思い。▲
Brāhmī : 𑀔
梵字:
Devanāgarī : ख
『字母』:佉上
『釈義』:佉上呼
『字記』:佉字去下反音近去可反
『唐記』:斷氣呼之
《中天》:キャ
《南天》:カ ▲
[S] khanana. 掘削、埋設。▲
Brāhmī : 𑀕
梵字:
Devanāgarī : ग
『字母』:誐上
『釈義』:誐去引
『字記』:迦字渠下反輕音音近其下反。餘國有音疑可反
『唐記』:本鄕我字音下字亦然但皆是去聲
《中天》:ギャ
《南天》:ガ ▲
[S] garbha. ▲
Brāhmī : 𑀖
梵字:
Devanāgarī : घ
『字母』:伽去引
『釈義』:伽
『字記』:伽字重音渠我反
『唐記』:斷氣呼之
《中天》:ギャ
《南天》:ガ ▲
[S] ghurghurā? 獅子吼は[S] siṃha-nāda。▲
Brāhmī : 𑀗
梵字:
Devanāgarī : ङ
『字母』:仰鼻呼
『釈義』:仰鼻聲呼
『字記』:哦字魚下反音近魚可反。餘國有音魚講反
『唐記』:本鄕鼻音之我字音呼之
《中天》:ギャウ
《南天》:ガ ▲
[S] arṇava? / taṇḍaka? ▲
[S] saṃskāra / saṅskṛta. あらゆる存在、(業によって)作られたもの。▲
Brāhmī : 𑀘
梵字:
Devanāgarī : च
『字母』:左
『釈義』:遮上聲
『字記』:者字止下反音近作可反
『唐記』:本鄕佐字音勢呼之下字亦然但皆去聲此字輕微呼之下字重聲呼之
《中天》:シャ
《南天》:サ ▲
[S] cāra? ▲
Brāhmī : 𑀙
梵字:
Devanāgarī : छ
『字母』:磋上
『釈義』:磋上聲
『字記』:車字昌下反音近倉可反
『唐記』:斷氣呼之
《中天》:シャ
《南天》:サ ▲
[S] chāya / chāyā. 影、反射。▲
Brāhmī : 𑀚
梵字:
Devanāgarī : ज
『字母』:惹
『釈義』:惹
『字記』:社字杓下反輕音音近作可反。餘國有音而下反
『唐記』:引佐反下字准此呼之
《中天》:ジャ
《南天》:ザ ▲
[S] jāti. 誕生、生産。▲
Brāhmī : 𑀛
梵字:
Devanāgarī : झ
『字母』:酇去
『釈義』:鄼上聲
『字記』:社字重音音近昨我反
『唐記』:斷氣呼之
《中天》:ジャ
《南天》:ザ ▲
未詳。▲
Brāhmī : 𑀜
梵字:
Devanāgarī : ञ
『字母』:穰上
『釈義』:孃上聲
『字記』:若字而下反音近若我反。餘國有音壤
『唐記』:爾也反爾也兩字以本鄕音呼之
《中天》:ジャウ
《南天》:ザ ▲
[S] jñāna. 知ること、知識、智慧。▲
Brāhmī : 𑀝
梵字:
Devanāgarī : ट
『字母』:吒上
『釈義』:吒上聲
『字記』:吒字卓下反音近卓我反
『唐記』:吒舌音吒字以唐音呼之姹字亦然
《中天》:タ
《南天》:タ ▲
未詳。▲
[S] Jambu-dvīpa. 贍部洲とも。仏教の世界観で須弥山の東西南北にある四大洲のうち南に位置する洲(大陸)の名。▲
Brāhmī : 𑀞
梵字:
Devanāgarī : ठ
『字母』:咤上
『釈義』:咤上
『字記』:侘字拆下反音近折我反
『唐記』:姹斷氣呼之
《中天》:タ
《南天》:タ ▲
。▲
Brāhmī : 𑀟
梵字:
Devanāgarī : ड
『字母』:拏上
『釈義』:拏上
『字記』:荼字宅下反輕音。餘國有音搦下反
『唐記』:拏以本鄕陀字音勢呼之但加舌下荼
《中天》:ダ
《南天》:ダ ▲
Brāhmī : 𑀠
梵字:
Devanāgarī : ढ
『字母』:荼去
『釈義』:荼去
『字記』:荼字重音音近幢我反
『唐記』:荼此字斷氣
《中天》:ダ
《南天》:ダ ▲
Brāhmī : 𑀡
梵字:
Devanāgarī : ण
『字母』:拏尼爽反鼻呼
『釈義』:拏陀爽反仍鼻聲呼
『字記』:拏字搦下反音近搦我反。餘國有音拏講反
『唐記』:拏鼻音上下齒不開合呼之云阿奈此阿奈兩字用本鄕音
《中天》:ダウ
《南天》:ダ ▲
Brāhmī : 𑀢
梵字:
Devanāgarī : त
『字母』:多上
『釈義』:多上
『字記』:多字怛下反音近多可反
『唐記』:哆齒音以本鄕多字音呼之下字亦然但皆加齒音
《中天》:タ
《南天》:タ ▲
Brāhmī : 𑀣
梵字:
Devanāgarī : थ
『字母』:他上
『釈義』:他上
『字記』:他字他下反音近他可反
『唐記』:他斷氣
《中天》:タ
《南天》:タ ▲
Brāhmī : 𑀤
梵字:
Devanāgarī : द
『字母』:娜
『釈義』:娜
『字記』:陀字大下反輕音餘國有音陀可反
『唐記』:以本鄕陀字音呼之伹加齒下字亦然加齒音
《中天》:ダ
《南天》:ダ ▲
Brāhmī : 𑀥
梵字:
Devanāgarī : ध
『字母』:馱去
『釈義』:馱
『字記』:陀字重音音近陀可反
『唐記』:陀斷氣
《中天》:ダ
《南天》:ダ ▲
。▲
Brāhmī : 𑀦
梵字:
Devanāgarī : न
『字母』:曩
『釈義』:曩
『字記』:那字捺下反音近那可反。餘國有音音曩
『唐記』:以本鄕那字音呼之伹加鼻音
《中天》:ナウ
《南天》:ナ ▲
Brāhmī : 𑀧
梵字:
Devanāgarī : प
『字母』:跛
『釈義』:跛
『字記』:波字𭽽下反音近波我反
『唐記』:唇音以本鄕波字音呼之下字亦然皆加唇音
《中天》:ハ
《南天》:ハ ▲
Brāhmī : 𑀨
梵字:
Devanāgarī : फ
『字母』:頗
『釈義』:頗
『字記』:頗字破下反音近破我反
『唐記』:波斷氣呼之
《中天》:ハ
《南天》:ハ ▲
Brāhmī : 𑀩
梵字:
Devanāgarī : ब
『字母』:麼
『釈義』:麼
『字記』:婆字罷下反輕音。餘國有音麼字下不尖異後
『唐記』:以本鄕婆字音呼之下字亦然
《中天》:バ
《南天》:バ ▲
[S] bala. ▲
Brāhmī : 𑀪
梵字:
Devanāgarī : भ
『字母』:婆去重
『釈義』:婆重上呼
『字記』:婆字重音薄我反
『唐記』:婆斷氣呼之
《中天》:バ
《南天》:バ ▲
Brāhmī : 𑀫
梵字:
Devanāgarī : म
『字母』:莽
『釈義』:莽
『字記』:麼字莫下反音近莫可反。餘國有音莽
『唐記』:但用本鄕麻字音呼之但加鼻音
《中天》:マウ
《南天》:マ ▲
Brāhmī : 𑀬
梵字:
Devanāgarī : य
『字母』:野
『釈義』:野
『字記』:也字藥下反音近藥可反又音祗也反譌也
『唐記』:伊野反以下諸字皆去聲
《中天》:ヤ
《南天》:ヤ ▲
Brāhmī : 𑀭
梵字:
Devanāgarī : र
『字母』:囉
『釈義』:囉
『字記』:囉字曷力下反三合。卷舌呼囉
『唐記』:阿羅反
《中天》:アラ
《南天》:ラ ▲
Brāhmī : 𑀮
梵字:
Devanāgarī : ल
『字母』:邏
『釈義』:邏上
『字記』:羅字洛下反音近洛可反
『唐記』:以本鄕羅字音呼之
《中天》:ラ
《南天》:ラ ▲
Brāhmī : 𑀯
梵字:
Devanāgarī : व
『字母』:嚩
『釈義』:嚩
『字記』:嚩字房下反音近房可反。舊又音和。一云字下尖
『唐記』:以本鄕婆字音呼之向前婆字是重今此婆字是輕
《中天》:バ
《南天》:バ ▲
Brāhmī : 𑀰
梵字:
Devanāgarī : श
『字母』:捨
『釈義』:捨
『字記』:奢字舍下反音近舍可反
『唐記』:以本鄕沙字音呼之伹唇齒不大開合呼之
《中天》:シャ
《南天》:シャ ▲
Brāhmī : 𑀱
梵字:
Devanāgarī : ष
『字母』:灑
『釈義』:灑
『字記』:沙字沙下反音近沙可反。一音府下反
『唐記』:以大唐沙字音勢呼之伹是去聲唇齒不大開合呼之
《中天》:シャ
《南天》:シャ ▲
。▲
Brāhmī : 𑀲
梵字:
Devanāgarī : स
『字母』:娑上
『釈義』:沙上
『字記』:娑字娑下反音近娑可反
『唐記』:以大唐娑字音勢呼之但去聲呼之
《中天》:サ
《南天》:サ ▲
Brāhmī : 𑀳
梵字:
Devanāgarī : ह
『字母』:賀
『釈義』:賀
『字記』:訶字許下反音近許可反。一本音賀
『唐記』:以大唐賀字音勢呼之
《中天》:カ
《南天》:カ ▲
梵字:
Devanāgarī : क्ष
『字母』:乞灑二合
『釈義』:乞灑
『字記』:叉字楚下反音近楚可反
『唐記』:葛叉兩字依唐國音呼之
《中天》:キシャ
《南天》:サ ▲
Brāhmī : 𑀋
梵字:
Devanāgarī : ऋ
『字母』:哩
『釈義』:哩彈舌呼
『字記』:紇里
『唐記』:短阿哩齒不大開合呼
《中天》:キリ
《南天》:キリ ▲
Brāhmī : 𑀌
梵字:
Devanāgarī : ॠ
『字母』:哩引
『釈義』:哩彈舌去聲引呼
『字記』:紇梨
『唐記』:長阿利
《中天》:キリ
《南天》:キリ ▲
Brāhmī : 𑀍
梵字:
Devanāgarī : ऌ
『字母』:𠴊
『釈義』:𠴊彈舌上聲
『字記』:里
『唐記』:短離々字以本鄕音呼之齒不大開合呼之
《中天》:リ
《南天》:リ ▲
Brāhmī : 𑀎
梵字:
Devanāgarī : ॡ
『字母』:𡃖
『釈義』:嚧彈舌長聲
『字記』:梨
『唐記』:長離
《中天》:リ
《南天》:リ ▲
[S] upāya. 方法、手立て。▲
[S] nirmita, nirmāṇa, abhinirmāya. (神通力など超常的能力によって)仮に姿を変えて現れること。▲
伝統的に字母(子音)のうち「遍口声」、すなわち
(ya)・
(ra)・
(la)・
(va)・
(śa)・
(ṣa)・
(sa)・
(ha)・
(kśa)の九音(九字)を意味したものと理解される。▲
伝統的に字母(子音)のうち「五類声」の最初の五音(五字)、すなわち
(ka)・
(kha)・
(ga)・
(gha)・
(ṅa)を意味したものとされる。▲
伝統的に
(ṅa)・
(ṅa)・
(ṅa)・
(ṅa)・
(ṅa)の五字であるとされる。いわゆる鼻音であり、その理解は正しいであろう。▲
一説に
(aṃ)・
(aḥ)の二字、いわゆる界畔字がそれに当たるという。▲
母音十二音(あるいは十四音)のうち
(ā)・
(ī)など長音。▲
[S] skandha. 集まり、集積。ここでは特に色・受・想・行・識の五蘊(pañca-skandha)。▲
[S] dhātu. 基体、要素、ここでは特に地・水・火・風・空(・識)の五界(六界)。▲
[S] āyatana. 席、場所、家、境涯、感覚。ここでは特に眼・耳・鼻・舌・身・意の六入(六処)。▲
未詳。▲