VIVEKAsite, For All Buddhist Studies.
Dharmacakra
智慧之大海 ―去聖の為に絶学を継ぐ

空海 『梵字悉曇字母并釈義』

凡例

一.本稿にて紹介する『梵字悉曇字母并釈義』は、高野山大学密教文化研究所編『定本 弘法大師全集』第五巻所収の『梵字悉曇字母幷釋義』を底本としている。

一.原文および訓読にては、底本にある漢字を現代通用する常用漢字に改めず、可能な限りそのまま写し用いている。これにはWindowsでは表記されてもMacでは表記されないものがある(表記できない文字は□と表示される)。Macにて表記されない漢字を表示させるには、別途「PMingLiU-ExtB(新細明體-ExtB)」をシステムフォントとしてインストールすることを要す。ただし、Unicode(UTF-8)に採用されておらず、したがってWindowsでもWebブラウザ上で表記出来ないものについては代替の常用漢字などを用いている。

一.平安初期は特に従来の呉音から漢音に移行するよう国家の法として定められており、したがって平安初期の典籍のルビは本来、漢音にて付されるべきであろうけれども、ここでは定本にあるものに従った。他に難読あるいは特殊な読みを要する漢字や単語など、今の世人が読み難いであろうものには編者の判断で適宜ルビを多くの場合「呉音」にてルビを付している。特殊な読みを要する字に付したルビは、『類聚名義抄』および『字鏡集』の例から適宜選び付したものである。

一.悉曇は現状ではテキストとして表記出来ないため、画像(PNG)にて記し、ローマ字にてルビを付した。悉曇の一々の文字の原サイズは60×60pixelであるが、各項におけるサイズは適宜縮小表示されるよう設定している。

一.現代語訳においては読解に資するよう、適宜に常用漢字に改めた。また、読解を容易にするために段落を設け、さらに原文に無い語句を挿入した場合がある。この場合、それら語句は括弧()に閉じてそれが挿入語句であることを示している。しかし、挿入した語句に訳者個人の意図が過剰に働き、読者が原意を外れて読む可能性がある。そもそも現代語訳は訳者の理解が十分でなく、あるいは無知・愚かな誤解に由って本来の意から全く外れたものとなっている可能性があるため、注意されたい。

一.現代語訳はなるべく逐語訳し、極力元の言葉をそのまま用いる方針としたが、その中には一見してその意を理解し得ないものがあるため、その場合にはその直後にその簡単な語の説明を下付き赤色の括弧内に付している(例:〈〇〇〇〉)。

一.補注は、特に説明が必要であると考えられる語に適宜付し、脚注に列記した。

一.悉曇には、その典拠によって異なる字体が記されている場合がある。そこでここでは、脚注において本書とは異なる字体、「異体」を列挙した。しかしながら、それは本書に書かれた字体が正統であって、印度および支那で通用した字であることを意味しない。むしろ本書における字体が例外的な場合がある。

一.悉曇それぞれに付されている音訳(音写)には、伝統的とされてきた読みを参考までにルビとして付している。しかし、それが空海の意図した読み、それは漢音であったろうけれども、必ずしも一致しないことに注意されたい。

一.悉曇各字には伝統的読みとして、中天相承と南天相承とされるものが伝えられている。そこで、脚注にてそれらを《中天》・《南天》としてカタカナにて示した。

一.悉曇の音訳は典拠によって若干の相違があるため、それぞれ摩多・体文に脚注にて不空訳『瑜伽金剛頂経釈字母品』・空海『梵字悉曇字母并釈義』・智廣『悉曇字記』の音訳を併記し、比較・参照しやすいようにした。ただし、それら典籍は脚注にて、順に『字母』・『釈義』・『字記』と略記している。

一.本論に引用される経論は判明する限り、すべて脚注に『大正新脩大蔵経』に基づいて記している。その際、例えば出典が『大正新脩大蔵経』第一巻一項上段であった場合、(T1, p.1a)と記している。bは中段、cは下段である。

懸命なる諸兄姉にあっては、本稿筆者の愚かな誤解や無知による錯誤、あるいは誤字・脱字など些細な謬りに気づかれた際には下記宛に一報下さり、ご指摘いただければ幸甚至極。

愚老覺應
info@viveka.site